2009年2月15日日曜日

知識人とは何か

これもいまさらながらですが読みました。
でも私は「オリエンタリズム」すらまだ読んでいないので、サイード初心者なのです。


知識人へ対する辛らつな内容となっていますが、ここまで規範的な定義を読まされると、
そんな人物はこの世に存在しえるのか、という疑問が出てきます。

でも、この定義、
「知識人とは、亡命者にして周辺的存在であり、またアマチュアであり、さらには
権力者として真実を語ろうとする言葉の使い手である」には、パレスチナ出身で、アメリカで修練をした著者であるからこそ語れる、語らねばならない定義なのだと思います。

ここで興味深いのは、知識人は世俗であることと述べていることです。
ハイルブローナーという人は経済学を世俗の哲学と呼んでいますが、ここで言われている世俗という意味と、ほぼ合致するのではないかと思います。

経済学も、政府や議会が考える政策に対し、対立した見解を述べる場合が多いですね。こうした、権力に抗い、言論をもって信実を語るという点では、経済学の世俗性と、サイードの言う、知識人のあるべきすがたの世俗性というのが重なる部分が多い、という風に感じております。

この本の内容を咀嚼するためには、もっと読まねばなりませんね。
現代思想のベースになっているということでは、疑問の余地はないでしょう。